電総研(電子技術総合研究所)
の石綿陽
一氏が開発したものである。
もともと人型ロボットの開発を行っていたグループに所属して おり,このプロジェクトでは制御用コンピュータシステムの開 発を担当しる。
そしてOSとしてLynxOSというリアルタ イムUNIXを用いていたが,デバイスドライバの開発でつまずく。 特殊なOSであるために誰かがデバイスドライバを書いてくれる ことも期待できず,最新のハードウェアを利用するには,独自 にドライバを開発しなければならなくなった。
そんな苦労を軽減するためにも新しいOSが必要となる。そこで RT-Linuxが出て来たが,RT-Linuxにも問題があった。
RT-Linuxではリアルタイムタスクをカーネルモジュールとして 記述しカーネルにダイナミックリンクして実行してしまう。
このことはアプリケーションのバグによってカーネルが落ちて しまう危険性があるということである。それとハードウェア割 り込みハンドラの実行順序が制御できない。
そこでこれらの問題を解決するための新しいOSとして ART-Linuxが開発されることになった。ART-LinuxのRT-Linuxに 比べて有利な点は既存のLinux用デバイスドライバの再利用が 可能なことである。そのまま使えるというわけではないがわず かな変更だけですむために,大規模なシステムを構築する際に 負担が軽減される。
しかし欠点もある。動作が重いということである。
ART-Linuxではタスクスイッチや割り込みハンドリングに於い て,複雑な処理を行っているため Pentium2400MHz プロセッサを用いても20kHzの周期処理がほぼ上限となる。